2025年10月13日
本学MBAプログラムでは、企業経営を多面的に捉える力を養うため、「ファミリー・ビジネス&ファミリーオフィス」科目(高田朝子教授、中島努兼任教員)を開講しています。今回の講義では、キユーピー株式会社取締役会長であり、創業家の中島薫商店社長でもある中島 周氏をお招きし、「創業者の思いをいかに未来へつなぐか」を語っていただきました。
中島氏は、マヨネーズのトップブランドとして知られるキユーピーを一企業にとどまらず「社会に喜びを届ける存在」として成長させてきた経営理念の背景に、創業者・中島董一郎氏の「食を通じて人々の健康と幸せに貢献する」という信念があることを紹介しました。その志を受け継ぐために、経営の近代化やグローバル展開を進めつつも、ファミリーとしての責任感と倫理観を軸に意思決定を重ねてきた過程を、具体的なエピソードを交えながらお話しいただきました。
また、「ファミリービジネスの価値は“継ぐこと”ではなく、“磨き続けること”にある」という中島氏の言葉は、多くの受講生に深い印象を与えました。創業家の使命、ガバナンスと情の両立、そして長期的な視点に立った経営の意義を考える貴重な機会となりました。
講義では、学生から次々と質問が寄せられ、中島氏も一つひとつに丁寧に応答。経営理念から事業承継、人材育成まで多岐にわたる議論が交わされ、教室は熱気に包まれました。理論だけではなく、実践と信念に裏づけられた経営者の言葉に触れるこの時間は、まさにMBAの教室でしか体験できない貴重な学びの場となりました。
創業家として、そして経営者としての矜持に触れることで、受講生は「長く愛される企業とは何か」という問いを自らのキャリアに引き寄せて考える機会を得ました。MBAでの学びが、単なる経営理論の習得にとどまらず、価値観と哲学を伴うリーダー育成につながることを実感できる特別講義となりました。
